重複データを安全に整理するには、まず同じデータを見つける照合ルールを決め、グループごとにどのデータを残すかを決めて、承認なしには何も削除しないことです。作業の前に完全なバックアップを取り、統合の一つひとつを記録に残せば、誤って統合したデータも元に戻せます。
顧客名簿や商品マスタを何年も使っていると、同じデータが別の人によって別の時期に登録し直されます。「ABC株式会社」「(株)ABC」「ABC株式会社」「株式会社 ABC」は同じ会社ですが、システムの上では四つの別々の顧客です。その結果、レポートは同じ顧客を何度も数え、販売履歴はばらばらになり、同じ会社に別々の見積書が二通届きます。この記事では、こうした名簿を一歩ずつ、元に戻せる形で整理する方法を説明します。
重複データはなぜ生まれるのか
一つひとつの原因はささいなものです。登録の前に検索しない、あるいは表記の違いで古いデータが検索に引っかからない。ある人は略称を使い、別の人は正式名称を書く。全角と半角、スペースや記号の有無がそろわない。二つのシステムの名簿を突き合わせずに合体させる。Excel から一括取り込みをするときに同じファイルを二度読み込む。何年もたつうちにこうした小さな違いが積み重なり、名簿は実際よりずっと大きく見えるようになります。
ステップ1:照合ルールを決める
二つのデータを同じと判断する基準は、最初に文書にしておくべきです。最も確実なのは変わらない識別子です。法人番号、商品コード、メールアドレスなどがそれにあたります。この項目がすべてのデータに入っていれば、照合はほぼ自動的に片づきます。
そうした項目がない、あるいは埋まっていない場合は、名称の似かよりを見るしかありません。そのためにまず表記の違いをなくします。大文字と小文字、全角と半角、記号、スペース、「株式会社」「(株)」「Co., Ltd.」のような付記は、比較の前に同じ形にそろえます。そのうえで、似た名称を電話番号、所在地、住所などの二つ目の情報で確かめます。名称の似かよりだけに頼るのは危険です。別々の会社や別々の人が同じ名前であることもあるからです。
ステップ2:グループごとに残すデータを決める
同じと判断されたデータは一つのグループになります。グループごとに一件を「親データ」として残し、ほかはそこに統合します。どれを残すかは単純なルールで十分です。ひも付く取引が最も多いもの、最後に更新されたもの、最も情報がそろっているもの、などです。親データに欠けている電話番号や住所は、ほかのデータから補えます。
ここで注意したいのは、重複データにひも付いた履歴を失わないことです。顧客の過去の注文、請求書、やり取りが削除予定のデータにつながっているなら、先にそれらを親データへ移さなければなりません。そうしないと、整理によって名簿はすっきりしても、履歴まで消えてしまいます。
ステップ3:削除の前に承認を得る
照合ルールをどれほど整えても、判断に迷うデータは残ります。そのため整理は二段階で行います。まずツールや担当者が、どのデータを統合するかを示す提案リストを作ります。確実な一致はまとめて承認し、迷うものは名簿を一番よく知る人が一件ずつ確認します。統合は承認のあとに行います。
この手順は時間がかかるように見えますが、実際に時間を節約するのはここです。何千件ものデータを一件ずつ見るのではなく、判断のつかない数百件だけを確認すればよいからです。
ステップ4:元に戻す手段を用意する
整理を始める前に、名簿全体のバックアップを取っておきます。統合のたびに、どのデータをどれに統合したか、どの項目が変わったかを記録に残します。そうすれば、数週間後に「この二社は実は別の会社だった」とわかっても、その統合だけを元に戻せます。整理全体をやり直す必要はありません。
長年たまったデータをこのやり方で整理するツールは、重複データ整理のページで紹介しています。似たデータを見つけ、どれを残すかを提案し、承認後にまとめて統合し、変わった内容をすべて一つのレポートにまとめます。
整理のあと、きれいな状態をどう保つか
一度整理した名簿も、登録のルールを決めなければ数か月でまた乱れます。新しいデータを登録するときに似たデータがすでにあるかを知らせる警告、必須項目、統一した表記ルールがあれば、ほとんど防げます。一括取り込みをする場合は、取り込む前に同じ照合ルールで確認する必要があります。この点はExcelリストの一括登録の記事で取り上げました。
注意すべき点
重複データの整理は、多くの場合、自動化プロジェクトの最初の一歩です。乱れたデータの上に作ったツールは、誤りをより速く増やすだけだからです。ですから整理は独立した作業として計画し、次の問いに最初に答えておくべきです。どの項目を見て二つのデータを同じと判断するか。各グループでどのデータを残すか。判断に迷う一致は誰が承認するか。バックアップはどこにあり、統合はどう元に戻すか。データがなぜ自動化の前に立ちはだかるのかは、自動化プロジェクトはなぜ失敗するのかの記事で別に説明しています。
よくある質問
重複データはどうやって見つけますか?
まず法人番号、商品コード、メールアドレスのような変わらない項目を探します。ない場合は、大文字小文字や全角半角、記号、会社の付記の違いをそろえてから名称を比べ、似たデータを電話番号、所在地、住所などの二つ目の情報で確かめます。
重複データはすぐに削除してよいですか?
いいえ。まず統合の提案リストを作り、判断に迷う一致を確認し、削除するデータにひも付いた履歴を親データに移します。整理の前には完全なバックアップを取ります。
誤って統合したデータは元に戻せますか?
統合のたびに、どのデータをどれに統合したかを記録に残していれば、その統合だけを元に戻せます。そのため、バックアップと変更記録は整理を始める前に用意しておくべきです。
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