自動化プロジェクトが失敗するのは、多くの場合ソフトウェアが壊れているからではなく、業務を取り巻く体制が整っていないからです。最もよくある原因は五つあります。途中で範囲が膨らむこと、データが整理されていないこと、ツールを一人しか使っていないこと、チームに研修が行われないこと、そして導入後の保守に担当者がいないことです。五つとも、作業を始める前に話し合うことができます。
業務を自動化する決定は、たいてい期待とともに下されます。毎月何時間もかかっていた作業が短くなり、ミスが減り、チームはより重要な仕事に時間を割けるようになるはずです。ところが数か月後、ツールは脇に置かれ、作業は相変わらず昔のやり方で、Excelと手作業で行われていることが分かります。その原因は、多くの場合ソフトウェアそのものではありません。以下の五つは中小企業で最もよく見られる状況であり、いずれも作業を始める前に話し合うことができます。
1. 途中で範囲が膨らむ
プロジェクトは「見積もりをワンクリックで作れるようにしよう」という話から始まります。最初の打ち合わせで在庫管理が加わり、二回目で顧客リストが、三回目で会計への連携が加わります。追加の要望は一つひとつを見れば妥当に思えますが、合わせると完成まで何か月もかかるプロジェクトになります。その間は誰もツールを使えず、最初の熱意は冷め、プロジェクトは「終わらない仕事」と呼ばれるようになります。
範囲が膨らむもう一つの理由は、最初のバージョンが「不完全」に見えることへのためらいです。しかし、一つの仕事をしっかりこなす小さなツールは、すべてをやろうとして何一つ終えられない大きなプロジェクトよりも価値があります。使い始めてから出てくる要望も、推測ではなく実際の利用に基づくため、より的確になります。
解決策は単純ですが、規律が必要です。まず一つの業務を選び、それを動く状態にし、数週間実際に使ってから次に進むことです。どの業務を最初にすべきかを決めるには、自動化に向いている業務とはの記事にある基準が役立ちます。頻繁に繰り返され、ルールが明確で、ミスが高くつく業務は、良い出発点です。
2. データが整理されていない
自動化は、与えられたデータで動きます。同じ顧客がリストに五通りの表記で載っていたり、製品コードが何年もの間に変わっていたり、ある列に日付が書かれている箇所とメモが書かれている箇所が混在していたりすると、ツールはその混乱を加速させて増やしてしまいます。その結果、出てくる報告書や見積もりは誤ったものになり、チームはツールを信頼しなくなります。
そのため、プロジェクトの最初の一歩は多くの場合ソフトウェアではなく、データの見直しです。重複した記録を取り除き、項目の形式を統一し、欠けている情報を補います。何年もかけて積み重なった乱雑な記録の整理は、独立した作業として扱うことができます。私たちはこれを記録の整理のサービスで行っています。
データを一度整理した後は、その秩序を保つことも必要です。新しい記録をどのルールで入力するか、どの項目を必須にするか、誰が確認するかを決めておかなければ、数か月のうちに同じ乱雑さが戻ってきます。ここでは自動化そのものも役立ちます。欠けている記録や形式の誤った記録を入力時に見つけて警告するほうが、後から直すよりもずっと簡単です。
3. ツールを一人しか使っていない
多くの会社では、自動化を求めた人、それを構築した人、使っている人が同じ一人です。その人が休暇に入ったり、退職したり、別の業務に移ったりすると、ツールもその人とともに止まってしまいます。ほかの社員は使い方を知らないため、昔のやり方に戻ります。
ツールが会社に定着したかどうかを知る方法は、少なくとも二人がそれを無理なく使えるかどうかです。構築の段階では、管理職だけでなく、実際にその業務を行う人たちが同席している必要があります。彼らの日々の流れを知らないツールは、書類の上では正しくても、実際には使いにくいものになります。
4. 研修が行われない
「使い方はとても簡単です」という言葉は、研修が省かれる最もよくある理由です。しかし、どんなに簡単なツールでも、習慣を変えることが必要です。社員は昔のやり方で仕事をこなす方法を知っています。新しいツールで最初のエラーに出会ったとき、どうすればよいか分からなければ、昔のやり方に戻ります。研修は長いプレゼンテーションである必要はありません。業務を行う人と一緒に実際の例を最初から最後までたどり、短い書面の手引きを残し、最初の数週間は質問にすばやく答える。多くの場合、それで十分です。
研修のもう一つの利点は、チームのツールに対する見方を変えることです。新しいツールは、一部の社員に「自分の仕事を奪われるのではないか」という不安を抱かせることがあります。ツールが業務のどの繰り返し部分を引き受け、判断は引き続き誰が行うのかをはっきり説明すれば、この不安は和らぎ、ツールが受け入れられやすくなります。
5. 保守に担当者がいない
自動化は、構築した日に終わるものではありません。価格表が変わり、フォームが刷新され、連携しているシステムが更新されると、ツールは静かに誤った結果を出し始めます。それに誰が気づき、誰が直すのかが最初から決まっていなければ、問題は誤った見積もりが顧客に届いたときに初めて表面化します。
見積もりの段階で、次のことを確認しておくべきです。構築後の変更依頼には誰が対応するのか。エラーに気づいたら誰に連絡すればよいのか。ツールはどのような場合に警告を出すのか。この点では、既製パッケージとお客様専用に開発したツールとの間に重要な違いがあります。これについては既製パッケージか、オーダーメイドかの記事で取り上げました。
成功を何で測るべきか?
自動化が役に立っているかどうかを知るには、始める前に簡単な指標を決めておくと便利です。たとえば、その業務が現在何時間かかっているか、月に何件のミスが出ているか、見積もりを送るまでに何日かかっているか、といったものです。数か月後に同じ指標をもう一度見れば、ツールが実際に使われているかどうかも分かります。指標が決まっていないと、プロジェクトへの評価は人によって異なり、問題に気づくのも遅れます。
注意すべき点
五つの原因に共通するのは、いずれも技術ではなく体制に関わるものだという点です。始める前に簡単な確認をしておけば、ほとんどのリスクを減らせます。最初のバージョンで具体的にどの業務を行い、何を対象外とするのか。使うデータはどこにあり、どのような状態で、誰が責任を持つのか。ツールを使うのは誰で、その人たちは構築に参加するのか。研修と手引きは見積もりに含まれているか。構築後の保守は誰が引き受けるのか。これらの問いにはっきり答えられない場合は、自動化に着手する前にその答えを明確にしておくほうが確実です。私たちがどのような業務でどのように取り組んでいるかは、実績のページでご覧いただけます。
よくある質問
自動化プロジェクトが失敗する最も多い原因は何ですか?
最も多い原因は技術ではなく体制に関わるものです。途中で範囲が膨らむこと、データが整理されていないこと、ツールを一人しか使っていないこと、チームに研修が行われないこと、導入後の保守に担当者がいないことです。
自動化はどの業務から始めるべきですか?
頻繁に繰り返され、ルールが明確で、ミスが高くつく一つの業務から始めるのが最も安全です。その業務が動くようになり、数週間使った後で次の業務に進みます。
データが乱雑な場合、まず何をすべきですか?
まず重複した記録を取り除き、項目の形式を統一し、欠けている情報を補う必要があります。乱雑なデータの上に構築された自動化は、ミスを加速させて増やしてしまいます。
御社に繰り返し発生している作業はありませんか。お聞かせいただければ、その作業を行うツールを書きます。
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